BrainStorm社NurOwnの米国での第2相試験結果速報

BrainStorm Cell Therapeutics社は7月18日、米国で実施していたALSに対するNurOwn® の臨床第2相試験の結果速報を公表した。今回の試験で主要評価項目を達成し、安全性と忍容性が確認された。また複数の副次評価項目についても達成し、治療法としてベネフィットがある事を示した。

NurOwnは患者本人の骨髄より間葉系幹細胞を分離し、神経細胞をダメージから保護する神経栄養因子を分泌するように、独自の技術で培養した細胞である。臨床試験では、ALSによりダメージを受けている神経細胞付近にこのNurOwnを届け、神経細胞死の遅延を狙っている。

試験デザイン
今回の第2相試験はプラセボ対照・ランダム化比較二重盲検で実施され、NurOwnの安全性と有効性の評価を目標に、48名のALS患者が参加して行われた。実施施設は米国内のMassachusetts General Hospital、UMass Medical School、Mayo Clinicの3箇所で、NurOwnを筋肉内及び髄腔内に投与する群が36名、プラセボ12名が設定された。有効性についてはALSFRS-R等、そして進行が緩やかな患者を除いたサブグループでの解析が設定された。

治療反応者のALSFRS-R解析
投与前と比較した投与後の月毎のALSFRS-Rの変化率のパーセンテージ、ポイントの両方について検討された。ほとんど全ての観察時点で、実薬群の反応者割合がプラセボ群に比較して多くなった。例えば12週目時点で、50%以上の変化率改善が見られた「反応者」は、実薬群が40%、プラセボ群が17%となった。なお、過去の研究により、50%改善であれば臨床的に非常に意味があるとされている。
ALSFRS-Rをポイントで評価した場合でもNurOwnの治療によるベネフィットが示されており、投与後4、12、16週の時点では統計的に有意な差を示している。

進行が遅い患者を除いたサブグループ
NurOwnは進行速度を遅延させる効果が考えられており、進行が元々遅い患者はNurOwnによる治療効果を検出しにくいと考えられる。このため進行が遅い患者を除外したサブグループでの解析も行われた。(治療前の観察期間中のALSFRS-Rの傾斜が0.7以上の患者を進行が遅いと定義。) このサブグループでNurOwnの投与を受けた18名中17名において、投与後2週間の時点でALSFRS-Rスコアが不変もしくは改善された。一方、プラセボ群5名で同スコアが不変もしくは改善したのは1名であった(p=0.0027)。 以降4、8、12、16、24週目の時点での実薬とプラセボ群の反応者の対比は以下の通りとなった。
4週目 78% vs. 20%
8週目 44% vs. 20%
12週目 39% vs. 17%
16週目 33% vs. 0%
24週目 22% vs. 0%

バイオマーカー解析
合計35名の患者から投与前後の脳脊髄液のサンプルが収集され、神経栄養因子と炎症因子量が測定された。NurOwnの投与に反応があった患者においては、投与後の血管内皮増殖因子(VEGF)と肝細胞増殖因子(HGF)の値が有意に増加した。また炎症マーカー(MCP-1及びSDF-1)の減少でも統計的に有意差があった。一方、プラセボグループではこれらの変化は観察されなかった。

安全性
NurOwnは安全性に問題なく、忍容性も良好であった。有害事象のほとんどは軽度から中程度のものであった。臨床試験期間中に亡くなった患者はなく、また有害事象が原因での試験中止も発生しなかった。
発生頻度で最も差が出たのは投与部位の痛み、背中の痛み、発熱、頭痛、関節痛である。有害事象は、細胞移植に伴う一時的な反応に収まる傾向にあり、性質上軽度に留まると考えられる。投与後の重度の有害事象はプラセボ群に比べて実薬群での頻度が多く見られた。(実薬群22.2%、プラセボ群8.3%) 重度の有害事象の多くは嚥下障害などALSの進行と関連すると考えられ、NurOwn投与と関連は無いと考えられる。

今回の結果を踏まえ、より長期間での繰り返し投与を行う試験が望まれており、次の治験に繋がると考えられる。

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