ALSに対するレチガビンの治験について

米国ALS協会、Harvard Stem Cell Institute (HSCI) とマサチューセッツ総合病院は、ALSに対するレチガビンの効果を評価する治験に関し、グラクソ・スミス・クライン社と共同することを発表した。(資金はHSCI, 米国ALS協会、マサチューセッツ総合病院 神経臨床研究所とグラクソ・スミス・クライン社が提供する。)この治験では、各患者の幹細胞から神経細胞を作製し、治験対象薬剤への反応性が予測可能かどうか、同時に検討する。

レチガビンは日本未承認の抗てんかん薬で、他の抗てんかん薬と作用機序が異なり、カリウムチャネルを開くことで興奮した神経を静止状態に戻す。欧州・米国において色素沈着(青変)や視覚変化が報告されたため、現在は使用について制限されている。

この研究はHSCIで実施され、2014年4月にCell Stem CellとCell Reportの2誌に掲載された。ALSを引き起こすと考えられる遺伝子変異の多くが、運動神経の異常な活動亢進に関連している可能性があり、カリウムチャネルについては、ALS患者の神経細胞において同チャネル数が健常人より減少していることが分かっている。実際、ALS患者の神経細胞を用いた検討で、レチガビンが神経の過剰興奮を平常化する事が確認された。

ALSでは、神経細胞の活動亢進と折り畳み不良タンパク質の生成との関係性も報告されている。すなわち、ALS患者の神経細胞は活動亢進により生成された不良タンパク質によって更に活動が亢進され、細胞自身を脆弱にして死滅させる負のサイクルを有する事が考えられる。

治験は米国内12拠点でのプラセボ対照二重盲検試験で実施され、期間は10週間、人数は120名で2015年5〜6月頃から募集が開始される予定である。主要評価項目は磁気刺激による神経可塑性の変化(paired pulse inhibition (TMS))が設定されている。本治験では患者への投与と並行して、患者幹細胞を用いて対象薬剤の反応性をみる新しい試みが行われる予定で、今後のALS治療研究に貢献するデータが得られる事が期待される。

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